少年院で精神科医として入所者のケアをする立場からの視点で研究、尽力されている宮口幸治さんという方の著書を読みました。タイトルはインパクトが強いですが、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる人たちや、基本的な子育てをするうえでも非常に重要な考え方や視点が得られる本です。
どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2 (新潮新書) [ 宮口 幸治 ]価格:792円 (2023/4/8 10:27時点) 感想(4件) |
この本を読んだきっかけ
自身のこどもがちょうど小学校1年生で、基本的な生活習慣や学習の様子を見ていて、どうすれば上手く出来るようになるか考えていたことや、身の回りに発達障害の傾向のある方がいて問題の解決に関心があったことからこの本に興味をもち、読んでみることにしました。
この本では、社会で生きていくために必要な人間の基本的な認知機能について焦点があてられており、その必要な認知機能を向上させることが期待できるトレーニングについても知ることができるということで興味を持ちました。
- 小学1年の子どもがいて、学習がスムーズにいってないことや学校の支度等どうすればもっと上手くできるようになるか考えていた。
- 職場に発達障害の可能性が高い同僚がいた
- 教育関係の仕事をしており、生徒指導の面で理解力に問題のある子どもへの対応に苦労している
この本を読んで知ったこと・驚いたこと
読んでみると、意外な事実、自分自身の子育てや教育にも活用できそうなトレーニングが紹介されており、一気に読んでしまいました。
- 少年院内での教育で認知機能に問題のある者が高い割合で存在した。
- 認知に問題のある者に認知機能をトレーニングすることで認知機能の向上が認められた。
- 様々な種類のトレーニングがあり、そのどれもが人間が社会生活を行う上で必須であると感じられるものばかりであった。
- 幼児、児童など認知機能の発達段階にあるものへの教育にも効果が期待できる。
- 全国の小学校でも実際に実施されるようになっている。
社会生活を送るうえで最低限必要な能力のトレーニング
著者は、少年院で精神科医として働く中で、入所者の認知機能などに問題があり、それがトラブルの原因になると考えています。さらに、その機能を向上させるためのトレーニングを紹介しています。
例えば、形を模写させると元のイラストとは全く違ったものが出来上がった場合、見え方、認識の仕方に問題があります。情報が入ってきても正しく処理できなければ期待される行動を取ることは難しいことは想像できますね。
また、ある人が怒ってあることを伝えようとしたときになぜその人が怒っているのか分からなければそれに対しても適切に対処できずに相手の怒りや不満を解消することはできません。解消できないだけでなく、「あいつは自分勝手なやつだ」など自分の分からないところで本意ではない自分の評価が作り上げられていきます。
また、そういった上手く社会に適合できないところを見抜かれ、自分の意図しないところで犯罪に利用されたり、巻き込まれることも多いようです。
一般に広く活用され始めているトレーニング
上記で触れた社会の構図や問題点を少年院で精神科医として勤務されていた著者がなんとか問題を解決できないかと教育、トレーニングに当たったそうですが一般にはそういったトレーニングや教材はなかったため独自に研究、作成されたものが「コグトレ」というもので、困っている子どもたちの支援を考えていく教育・医療・心理・福祉の専門家からなる研究会もあるようです。
発達障害で悩んでいる方、支援で悩んでいる方、療育について知りたい方、知育に興味のある方におすすめです。
漫画、小説、コグトレのドリルなど様々出ています。
医者が考案したコグトレ・パズル [ 宮口幸治 ]価格:1,210円 (2023/4/8 11:04時点) 感想(24件) |
まとめ
今回は、少年院で精神科医として入所者のケアをする立場からの視点で研究、尽力されている宮口幸治さんという方の著書についての記事でした。この本で紹介されている、入所者の認知機能などを向上させるためのトレーニングは、私自身もこどもにも必要かもしれないと考え、ドリルを買ってこどもと一緒にやってみました。クイズやなぞなぞ感覚で楽しみながら取り組んでいます。